日本では、救急車で救急医療機関に患者を搬送して、医師が診察をする救急医療体制が続いていました。
救急隊の救急救命士にも一部の医療行為は許されていましたが、それには限りがあり、医師による治療が開始されるまでの時間が長くなり、救命率の低下につながっていました。
一部の救命センターでは、救急ヘリ(ドクターヘリ)で現場へ医師を派遣したり、広域の救急搬送を行ってきましたが、ヘリが飛べない悪天候時や、ヘリの降りる場所が近くにない場合には、救急車による陸路での輸送しか手段がなく、治療の開始までに大幅な時間がかかっていました。
また、交通事故などの外傷で救出に時間がかかるような場合においても、初期治療の上で現場への医師の早期派遣が求められていました。
このように、救急現場に一刻も早く医師が駆けつけて初期治療を始め、救命率を向上させることを目的として、ドクターカーが導入されるようになりました。
旭川医科大学病院救命救急センターはプレホスピタルケアの充実による救命率の向上を目的として、2015年4月よりドクターカーの試験運用を開始し、2017年4月から本格運用を行っています。
1991年に救命救急士制度が発足し、心肺停止症例に対する救命士による電気的除細動器の使用、静脈路確保、器具を使用した気道確保の実施が認可され、さらに気管チューブを使用した気管挿管、アドレナリンの使用も可能となり、プレホスピタルケアの処置拡大が図られてきました。
しかし、現時点でも救命士の行うことのできる医療行為は限定的です。
1分1秒を争うような重症傷病者に対し、ドクターカーが現場へ出動することで医師、看護師が一刻も早く駆けつけ接触し、初期治療を行うことが出来ます。
また病院到着前に傷病者の状態をより深く把握することで、病院到着後の初期診療の効率化を図ることも可能となります。
旭川医科大学のドクターカーは、道北ドクターヘリの補完としても機能しており、天候の影響を受けずに運行が可能であることや、ドクターヘリよりも直接救急現場へ到着できるといった利点があります。
消防からの要請に基づき、医師2名(専従医1名、研修医1名)、看護師、運転手の最低4名で現場へ出動します。
直接現場に直行、または消防の救急車とドッキングする2つの方式とし、患者状況に応じて当院または他院へ搬送しています。
現場に医療チームが行くことで早期診断・治療が可能となり、救急隊とともに地域全体の重症傷病者の救命率向上に貢献できるように日々努力しています。
ドクターカー運用システム
運航時間:平日日中 9:00~17:00
エリア : 30㎞圏内
使用車両:高規格救急車 1台
旭川市消防・大雪消防組合各署・富良野広域連合消防各署 からの出動要請により出動しています。
旭川医科大学のドクターカーは、試験運用を含め、運用開始後4年目となり、まだまだ実績は少ないですが年々出動件数は増加しています。
出動内容としては、心肺停止17%、外因性疾患(交通事故、高所転落、労働災害、急性中毒、溺水など)は54%、内因性疾患(急性冠症候群、急性大動脈解離、脳卒中、呼吸不全など)は29%となっています。
その中で工場での火災や水蒸気爆発事故にける多傷病者発生事例にも対応し、道北ドクターヘリと協力し、地域におけるプレホスピタルケアの向上に努めています。
また、平成30年度からは消防無線を実装し、より救急隊との連携が向上しました。
旭川医科大学
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旭川市緑が丘東2条1丁目1番1号
TEL:0166-65-2111(代表)
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